安定した自分になる <幸せホルモンを出す7つの方法>
人の脳内で分泌されるホルモンの中には、幸せな気分になれるホルモンがいくつかあります。心のバランスを整えたり、ストレスを軽減させたりするこの「幸せホルモン」は、ささいな習慣で分泌します。
そこで今回は、これらの幸せホルモンを普段の生活の中のちょっとした工夫で増加させるヒントをご紹介します。
このページの目次
幸せホルモンとは?
脳内にはたくさんのホルモンが分泌されていますが、その中でも分泌されると心と体に心地良さを感じるホルモンを指しています。
ここでは、おもにセロトニン、ドーパミン、オキシトシンの3種類のホルモンをご紹介いたします。
精神の安定に「セロトニン」とは
セロトニンは睡眠や食欲、気分を調整してくれるもので、精神状態を大きく左右するといわれています。
セロトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料になります。
またうつ病の薬の代表格であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は、一度放出されたセロトニンの細胞内への再取り込みを阻害することで脳内のセロトニン濃度を上昇させ、神経伝達をスムーズにし、抗うつ作用および抗不安作用に働いています。
薬が必要な方は専門医の指示に従って、服用することで不調を改善していく必要がありますが、
健康な方は日常の自然な流れの中で、セロトニンのレベルをあげて、精神状態を良好にできるのであれば、活用していきたいものです。
・精神の安定とストレスの軽減
・メラトニンの分泌と密接に関係していて睡眠の質が向上
やる気に直結「ドーパミン」とは
人間が生きていくためには、目的達成や危険回避のために「やる気」を出さなくてはいけません。
やる気は、人間の脳の部位「側坐核(そくざかく)」から分泌される脳内物質によってもたらされていることが科学的に実証されています。それがドーパミンです。
やる気がある状態とはいわば「ドーパミンが大量に分泌されている状態」なのです。
ドーパミンは生きるために必要なやる気を促し、幸福感をアップさせるホルモンです。
愛情ホルモン「オキシトシン」とは
オキシトシンは、脳の視床下部という場所で生成されるホルモンです。
そもそもオキシトシンは、女性の妊娠・出産時に大量に分泌されるホルモンとして認識されていました。陣痛促進剤として使われているのも、実はオキシトシンで昔から、「お母さんホルモン」や「愛のホルモン」として知られてきました。
1990代半ばごろ、このオキシトシンについての研究がさかんになり、多くの実験結果から、オキシトシンの分泌が、ストレスの軽減に大きな効果を持つことが分かってきました。
それは男女差なく効果があるそうです。
幸せホルモンを増やす毎日の工夫
それでは、セロトニン・ドーパミン・オキシトシンの分泌を増やすための生活習慣を7つ、ご紹介していきます。
日光を浴びる
朝、日光を浴びる効果は絶大です。
朝日を浴びるとセロトニンが分泌されます。
それによって、睡眠ホルモンが抑制され、休息から活動のモードチェンジが自然となされます。
またセロトニンが分泌されることによって、その14-16時間後に睡眠を誘発するメラトニンが分泌されます。
つまり朝、目が覚めて日光を浴びると、夜には睡眠ホルモンの分泌が増え、自然と眠くなるというサイクルを作ることができます。
人間の体内時計の周期は実は24時間よりも若干長いため、そのままにしていると自然と周期がずれてきます。
それが夜眠れなかったり朝起きれないという状態を引き起こしています。
睡眠は健康的なメンタルの育成に不可欠です、眠れない状況が続くとメンタル不調も引き起こしやすくなるため、睡眠サイクルを安定させるために朝日を浴びることはとても大切です。
胸を張って背筋を伸ばす
米国で2018年にベストセラーになった心理学者であるジョーダン・B・ピーターソン博士「人生の12のルール」
この本は、人生という苦難に立ち向かい、意味のある人生を送るための12のルールを提唱し、それぞれを詳しく解説しています。
その中でひとつめのルールに挙げられているのが「背筋を伸ばしてまっすぐ立つ」ということです。
Rule 1: Stand up straight with your shoulders back
あなた体の動きは、あなたの感情や精神に影響を与え、他の人たちの反応にも影響を与えます。
ロブスターのような原始的な生物でも、勝ち続けるものはピンと体幹が伸びており、
負けるものは、背中を丸めて逃げていく。
そして勝った方と負けた方の脳内の神経伝達物質の構成には大きな違いが現れ、勝つ者は勝ち続け、負ける者は負け続けます。
両者の違いは「姿勢」です。
人間の場合、自信がなく背筋が丸まってくると、自然と顔も下を向きます。
悪い姿勢と自信や自己肯定感の低さがリンクしてしまうんです。
まずは背筋を伸ばすことから始めましょう。
姿勢につられて、自信もついてきます。
毎朝鏡の中の自分に笑顔を向ける
まず笑顔をつくりましょう。
前項の姿勢と同じです、自信があるから背筋が伸びるということもあるでしょうが。
背筋を伸ばしているから自信が育つということもあります。
アメリカの哲学者であり心理学者であるウィリアム・ジェームズの有名な名言があります。
楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。
We don’t laugh because we’re happy – we’re happy because we laugh.
楽しいから笑うというのが普通のプロセスですが、笑うと脳内が楽しいと錯覚してしまうという作用があります。
顔の筋肉を笑顔の形にするだけで、その信号が脳に届き、面白い・楽しいと感じてしまうんです。
みずから先に楽しくなりましょう。
楽しさを自分の人生に呼び込むために、朝の洗顔時に鏡を見て自分に向かってにっこり笑いかけることを習慣にしてみてはどうでしょうか?
必要な栄養を取る
セロトニンの原料は「トリプトファン」ですが、トリプトファンは体内では生成されない「必須アミノ酸」のため、食べ物から摂取するしかありません。
トリプトファンは大豆に含まれる「大豆たんぱく」と、乳製品に含まれるタンパク質「カゼイン」に多く含まれています。
納豆、豆腐、味噌、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどがおすすめです。
なかでもバナナはトリプトファンだけでなく
セロトニンを増やすのに必要なビタミンB6と糖質も同時に摂取することができます。
バランスの取れた食事を用意するのは難しくても、朝ごはんにバナナを一本追加するくらいのことはできそうです。
朝ごはん向きの食材が並びましたので、ご自身の食生活に取り入れやすいものを取り入れてみてください。
適度な運動をする
運動することでしあわせな気持ちにしてくれるエンドルフィンが放出されます。
この中にはセロトニンやドーパミンも含まれます。
20分間の筋トレをすることで、その後約12時間気分をよくすることができるという研究もでています。
筋トレをすると落ち込んでいたな気分も抜けます。
健康的なメンタルの育成に筋トレはおすすめです。
とはいえ、普段運動しない人に筋トレはハードルが高いというかたもいるでしょう。
そういう方は、ウォーキングをおすすめします。
会社に行く時一駅前で降りて歩いてみる、お昼休憩に会社の周りを歩いて見る、会社帰りに一駅先まで歩いてみる。
など、ご自分が取り入れやすい時間帯に少し歩く距離を伸ばしてみるということを試してみてください。
その時は胸を開いて背筋を伸ばして、まっすぐ前を見て歩いてみてください。
スキンシップを行う
愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンはスキンシップによって分泌されます。
とくに配偶者や恋人同士のスキンシップは効果が期待できます。
そのほか、家族とのだんらんや心を許せる友人との食事や会話、ペットとの触れ合いもオキシトシンの分泌に効果があります。
そしてマッサージを受けることでもオキシトシンが分泌されますし、ストレスホルモンであるコルチゾールを減らし、セロトニンのレベルを上げることができたという研究もあります。
親しい人とのスキンシップを積極的に取り入れてみてください。
瞑想をする
瞑想をすることで血圧を下げたり、セロトニンの値を増やしてくれる効果がります。また、たったの30分間の瞑想でうつの症状が改善されるなんていう研究もあります。
とはいえ、瞑想をしたこともない人が30分間の瞑想をするのはなかなか難しいと思うので、呼吸法から入ってみることをお勧めします。
伝統中国医学など代替医療の伝統も取り入れ、人間に本来備わっている自然治癒力を引き出すヘルスケア・システムである統合医療を提唱しているアンドリュー・ワイル博士が考案した「4・7・8」呼吸法を紹介します。
① 鼻から息を吸いながら4つ数える
② 息を止めて7つ数える
③ 8つ数えながら息をゆっくり吐き出す
心身を落ち着ける効果があるので、夜寝る前にすると睡眠効果が高まると言われています。
眠れなくて困った時、大事な会議の前に緊張をやわらげたいときなど、ぜひ試してみてください。
まとめ
日常の中でちょっとした意識で幸せホルモンを増やす方法をお伝えしてきました。
これをしたらこのホルモンが増える、と細かく意識しながら生活習慣を変えるのではなく、心地いいことをする。
そして、その際に「脳内の幸せホルモンがいま増えているなぁ」という意識をもってみることで、効果が高まります。
美しい景色を眺める、好きな音楽を聴く、おいしいものを食べるなど、五感を刺激して人が気持ちいいと感じて、あなたを幸せな気分にしてくれるホルモンを日常生活の中で増やしていきましょう。
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